「シテイル」形式の派生的用法
--中国学習者の使用実態--
要旨:日本語のシテイルという文法形式については、アスペクト・テンスから意味・用法を解説先行研究が数多くある。動作の持続と変化の結果の持続がその基本であることはかなり明確になったといえる。そして、その他の特殊的な、派生的のシテイルの機能は充分に説明できなく、説が統一していないところがかなりある。では、シテイルに関して、実際の文脈でどのように使われており、どういった点が日本語学習者にとって困難であるかを検討したい。
キーワード:シテイル;継続相;状態;結果;アスペクト;テンス
一、文献综述
「シテイル」は「スル」、「シタ」、「シテイタ」と一緒、アスペクト・テンス体系による4つの文法的形式の一つである。現代日本語のアスペクト・テンス研究史は、戦前における長い歴史をもってはいるのであるが、ここでは、戦後の金田一春彦1950「国語動詞の一分類」から出発する。
もはや言うまでもないかと思われるのだが、いわゆる国文法(学校文法)では、スルは1単語、シタは2単語、シテイルは3単語、シテイタは4単語として、ばらばらに扱われる。金田一春彦1950「国語動詞の一分類」は、このような形式主義的アプローチを排し、シテイルを、アスペクトを表す有意味的単位(分析的形式)として扱うことによって、文法的意味と語彙的意味(つまりは動詞分類)との相関性を明らかにしたものであった。というと、金田一(1950)は、「ている」がつくかどうか、つくとしたらどのような意味になるかを論じ、動詞を状態動詞、継続動詞、瞬間動詞、第4種の動詞の4つに分類することを提唱した。
奥田靖雄1977「アスペクトの研究をめぐって――金田一的段階――」は、シテイルが、それ自体においてではなく、包括的体系の部分としてのみその価値を解明できることを明示した。奥田は、現代日本語のアスペクト体系を、スル(完成相)とシテイル(継続相)の、互いに他をまってはじめて価値を持つ相補的対立関係の中に確認した。動詞が、まず、アスペクトとイウ文法的対立の有無によって2分類され、つまり、継続動詞と瞬間動詞はアスペクト体系のある動詞で、状態動詞と第4種の動詞はアスペクト体系のない動詞であると述べている。さらに、奥田は継続か瞬間かという<時間の長さ>のかわりに、<主体の動作>か<主体の変化>かという、新たな弁別的意味特徴を採用した。「シテイル」形で、<主体の動作>は動作の継続をあらわし、<主体の変化>は結果の継続を表すという結論を出した。たとえば、「花子が窓を開けている」は主体の動作で動作の継続を表す。「窓が開いている」と「窓が開けられている」は主体の変化で結果の継続を表す。
『日本語の文法』により、継続相の持つ基本的なアスペクト的意味は、動詞のさししめす運動(動作または変化)を、持続過程(をなす局面)の中にあるすがたでさしだすことである。継続の基本的な用法は持続過程の中にあるすがたを表し、中には動作の持続と変化結果の持続がある。その他に、繰り返し過程の中にあるすがた、ある局面の完成後につぎの局面の中にあるすがたと、以前の動作や出来事を経験・記録として表す姿があると述べている。
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