浮世絵における見立絵についての研究
——鈴木春信を中心に
要旨: 近年、中国で浮世絵についての研究が増えている。その内、見立絵は浮世絵の一種であるが、それに関する研究は十分に行われているとは言えない。鈴木春信は見立絵を創作する第一人ではないが、彼のかき方はこの画風を集大成すると言っても過言ではない。したがって、見立絵を研究する際に、鈴木春信をも研究する必要があると考えられる。小論では、見立絵の定義、題材、種類、発展などを整理し、それをもとに、鈴木春信の見立絵の作品を分析した。
キーワード:浮世絵; 見立絵; 鈴木春信;典故
江戸時代の浮世絵は日本文化歴史上絵の代表として非常に高い芸術価値と研究価値がある。浮世絵は世界の中で最も完全な庶民の芸術の一つである。浮世絵は17世紀末期から18世紀末期のゴールド時期を経って、19世紀中後の衰退する時期に貴族であれ、庶民であれ、得ることはたやすい美術品である。最初に「浮世」という言葉は仏教の「浮世間に憂えることが多い」からきた。仏教の「浄土」について世間は「憂える世」である。本意は現世は憂える世で、多くの苦しいことがある。そして、釋迦が憂慮すべき世界である。その後世間の人は「たとえ憂える世としても、人間はこの世界の中で生存せざるをえない。いっそこの浮世の中で時節柄に合ったレジャーを楽しむになっている。「浮世絵」という言葉は『浮世草子』からきた。近年、中国で浮世絵についての研究が増えている。その内、見立絵は浮世絵の一種であるが、それに関する研究は十分に行われているとは言えない。『広辞苑』の中で見立とは「俳諧の付合で前句の内容と別なものに解釈しかえて句を付けること」を意味する。文学方面の言葉である。見立絵とは歴史的・伝承的故事に題材を取りながら、人物や背景は当世風にして描いた絵のことである。特に、江戸時代には、趣向を凝らしたものが多く見られ、さまざまな階層の人々に親しまれた。浮世絵の見立絵はほとんど中国と日本の古代の物語と民間伝説から創造して、当時の社会風習、あるいは美人の姿などに転換した。鈴木春信は見立絵を創作する第一人ではないが、彼のかき方はこの画風を集大成すると言っても過言ではない。したがって、見立絵を研究する際に、鈴木春信をも研究する必要があると考えられる。
ここで、見立絵と鈴木春信に関する先行研究を挙げておこう。
中国の李元亮は「日本の『浮世絵』」という文章では「浮世絵の内容は平易で分かりやすい。例えば、民間生活、優浮、武士、風景などである。しかし、その表現した形態と風格が優雅になっている。」という観点を示している。そして、「人間は浮世絵にかすかで美しい感覚を持って以外、わかったようなわからないような神秘的感覚もある。」と述べている。
中国の梅忠智は『日本浮世絵精品』という著作では「近年、中国の出版事業の発展に伴って、普通の美術者と美術学校は画集とインターネットを通して、日本の浮世絵の芸術形式と内容を了解することができる。しかし、確かに研究したい人が多くない。その原因は多くの中国画家は日本の浮世絵に全体的に了解する機会がほどんどないということである。そして、日本の浮世絵に芸術を求めた真諦が了解する機会もほどんどないということである。」と述べている。これは日本の浮世絵についての研究が十分に行われているとは言えないという観点を示している。どうしてそんな機会がないであろうか。それは最も早く日本に留学して、美術を勉強する学生たちは日本画を研究することに多くの精力を費やしたからである。日本画は日本の伝統的技法・様式に従って描かれた毛筆画のことである。岩絵の具などを用い、絹・和紙に描く。明治以後、油絵などの洋画に対していう。その原因は二つある。一つはその時期に浮世絵がどこでも見られて、日本人は浮世絵を重視していなかったということである。もう一つは日本の浮世絵についての研究専門画集と学術論文がそれほど多くなかったということである。たしかに1970年代末期に中日国交を回復した以降、日本の浮世絵は中国人に知られるようになった。しかし、研究するのはただ美術界の一部の学者に過ぎなかった。
中国の潘力は『浮世絵』という著作では「鈴木春信は平安時代の優雅な文化に情熱を注いで、かつての和歌の韻律の中で詩の境地を探した。そして、中国の芸術に興味もあった。中国の芸術に学ぶことがあった。」と述べている。この点は見立絵の表現方式を説明する。「先人の画意を参考して、新しい作品を創作する。それから、先人の作品にも関連して、作品の味わいを増加するために両方の微妙的な関係を隠喩する。」と述べている。そして、「見立絵を理解するために鑑賞者は典故についての基礎知識を持つ必要がある。その置換した巧みと機知をやっと体得することができる。」という観点を示している。
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